Q

あなたが考えるPHVとは?

A

ものの見方や価値観を、
コペルニクス的に転回させること。

ブックコーディネイター・内沼 晋太郎が選ぶPHVな本 2/4 |
『スペクテイター 36号 特集・コペ転』(幻冬舎)

 「なんで私がこのポジションに?」というようなことは、社会に出ると誰しも経験することだと思います。「経験がないのに」とか、「コペ転」というやや間抜けにひびく言葉は「コペルニクス的転回」の略です。天動説から地動説に変わったとき、すなわち空が動いているのではなく地球が動いているのだと知らされたとき、人々はどれほど驚いたことでしょう。これまで見上げていたのと同じ空であるはずなのに、まったく違って見える。それはものの見方、価値観の転回でした。
 ジャズピアニストからリンゴ売りへ、コレクターからエアコレクターへ、カレー修行からムスリムへ……本書は、運命的に訪れた出来事によって、あるいは、迎えた状況の中での自らの選択によって、それまでの人生で築き上げてきた価値観を大きく転回させ、いまを生きている人たちへのロング・インタビュー集です。
 読むと、誰もが否応なしに、自分について考えてしまうでしょう。今すぐにでもまったく違う未来に踏み出すことができ、それはすべて、自分次第であるのではないかと。自分が中心にいて、ずっと上の届かないあたりで世界が勝手にまわっているのではなく、世界は営みとしてここにあり、その無限の可能性のひとつとして小さな自分がいるのだと。まさにコペルニクス的に気づいてしまうのですが、その先の人生についてはもちろん、自己責任ってやつです。

内沼 晋太郎

うちぬま・しんたろう/1980年生まれ。一橋大学商学部商学科卒業。numabooks代表。ブック・コーディネイター/クリエイティブ・ディレクター。2012年、ビールが飲めて毎日イベントを開催する「本屋B&B」を博報堂ケトルと協業で、下北沢にオープン。現在、福岡・天神「RethinkBooks」、銀座「本屋EDIT TOKYO」の2つの期間限定店を合わせ、3店舗を経営。ほか、株式会社バリューブックス社外取締役、青森県八戸市の公共施設「八戸ブックセンター」ディレクターなどをつとめる。著書に『本の逆襲』(朝日出版社)など。