Q

あなたが考えるPHVとは?

A

自らの意思で道を選び、
新しい視点と発見を得ること。

Roundabout/OUTBOUND店主・小林 和人のPHVなモノ 1/4 |
『〈アロートレーディング〉の自転車』

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トップチューブにはスウェーデン軍のレザーバッグを取り付けた。中にはレンチなどのメンテナンス道具がトップチューブにはスウェーデン軍のレザーバッグを取り付けた。中にはレンチなどのメンテナンス道具が

西荻窪〈アロートレーディング〉の自転車は「シンプル・イズ・ベスト」をポリシーに、余計なものを削ぎ落とした簡素なスタイル _mg_0011

西荻窪〈アロートレーディング〉の自転車は「シンプル・イズ・ベスト」をポリシーに、余計なものを削ぎ落とした簡素なスタイル西荻窪〈アロートレーディング〉の自転車は「シンプル・イズ・ベスト」をポリシーに、余計なものを削ぎ落とした簡素なスタイル

 

 高校生の時には10km以上の道のりを自転車通学していたこともあって、今も自転車が好きなんです。以前から自宅と店舗の間の通勤に使っていましたが、2015年に「Roundabout」が吉祥寺から代々木上原に移転したことで、吉祥寺にあるもう一店舗の「OUTBOUND」も含めて、3点間を自転車と電車を使って複雑に移動する日々です。
 今、乗っている自転車は、西荻窪にある〈アロートレーディング〉のシングルスピード。もともとは十年以上前に妻がセミオーダーで購入したものなんですが、希望者には組み立てまでやらせてもらえるということだったので、僕が組み立てて、今では僕の愛車になっています(笑)。アロートレーディングはオーナーの山田甚兵衛さんが40年以上前からオーダーメイドの自転車を作り続けている専門店で、ものすごくシンプルなデザインが特徴です。変速機や泥除けはなし、ハンドブレーキは前輪だけで、後輪はコースターブレーキ(ペダルを逆回転させると止まる機構)。2002年に松屋銀座で行われた『デザインの原形』という展覧会で、人間環境に対して最適化されたプロダクトのひとつとして選ばれていたのを見て、その潔いスタイルに惹かれました。
 今日は初めて、自宅のある久我山から代々木上原の店まで自転車で40分くらいかけて走ってみたんですが、やっぱり電車移動とは違った風景に出会えるのがいいですね。「こんなところに神社があったのか」とか、視点を変えることで色々な発見があったり、「この2点間って実はこんなに近かったんだな」と場所同士の距離感も変わったり。好きな道を自由に選択して走ることで、自分の中の“脳内地図”が少し更新されたりする。そういうある種の創造的な体験はやはり、ただ乗り物に乗せられ、運ばれて移動する時には味わえないものなんですよね。

 

小林 和人

こばやし・かずと/1975年、東京都出身。オーストラリアやシンガポールで幼少期を過ごし、多摩美術大学を卒業後、1999年に国内外の生活用品を扱うショップ「Roundabout」をスタートさせる。2008年には吉祥寺に「OUTBOUND」をオープン。著書に『あたらしい日用品』(マイナビ)など。